セキュリティーレビューは、ベンダーのセキュリティーの状況を評価し、記録し、継続して追うための仕組みです。レビューはベンダーの情報の画面に残り、質問票、SOCレポート、アップロードした資料、最終的な判断を含められます。ベンダーを取引に加えるときの評価、定期的なレビュー、レビューの状態と期限の追跡、監査に備えた記録に使います。このページでは、ベンダーのセキュリティーレビューとして、SOCレポートのレビューの手順、確認すべき範囲と例外の読み方、社内メモと所見の残し方、次回のレビュー期限の管理を説明します。
レビューの種類
レビューは、ベンダーの情報の画面のSecurity reviewsタブで作成します。
Vendorsを選びます。Current vendorsかProspective vendorsを開きます。- ベンダーを選びます。
Security reviewsタブを開きます。Create reviewを選びます。- 次のいずれかを選びます。
| 種類 | 使う場面 |
|---|---|
Security review | 資料を集めて評価を記録する。ファイルのアップロード、Drataからの質問票の送付、Drataの外で受け取った回答のアップロードができる |
SOC report review | ベンダーのSOCレポートを、決まった項目に沿って正式にレビューして記録する |
Upload review report | Drataの外で済ませたレビューの報告書をアップロードする |
Security reviewsタブには、そのベンダーの完了したレビューと進行中のレビューの履歴が全て残ります。
TPRM Agentを使える場合は、エージェントが評価基準に照らして資料を評価するレビューになります。手順はTPRM Agentによるレビューで説明します。
レビューの名前は、作成するときに入力するか、日付とレビューの種類を組み合わせた既定の名前をそのまま使います。後から変えるときは、Security Reviewsの表で、レビューの行の⋯からRenameを選び、Review nameを入れてSaveを選びます。名前は191文字までです。案件ごとの名前にしておくと、一覧で見分けやすくなります。
セキュリティーレビューで判断を記録する
Security reviewの種類のレビューでは、次の資料を集めて評価します。
| 資料 | 内容 |
|---|---|
| ファイル | SOC 2レポートなどをアップロードする |
| 質問票 | Drataから質問票を送る(質問票の送付と回収) |
| Drataの外で受け取った回答 | 質問票の回答をアップロードする |
| AIの要約 | 有効にしている場合に表示される |
ベンダーの資料と質問票の回答を確かめたら、自社のリスクと取引の条件をもとに、最終的な判断を選びます。
| 判断 | 選ぶ場面 |
|---|---|
Pending | レビューが続いている、またはベンダーからの追加の情報、資料、回答を待っている |
Approved | ベンダーが自社のセキュリティーとコンプライアンスの要件を満たし、取引の前に必要な対応がない |
Approved with conditions | 取引を進めていいが、完全に承認する前に、是正、契約の条項、追加のコントロールなどの対応が必要 |
Rejected | ベンダーが自社のセキュリティーの要件を満たさないか、受け入れられない水準のリスクがある |
判断の理由は、メモに書いておきます。条件付きで承認した場合は、必要な対応や条件も書きます。レビューを終えた後は、レビューの概要を確かめ、レビューの一式をダウンロードできます。直す必要があれば、レビューを開き直せます。
SOCレポートのレビュー
SOCレポートのレビューは、次の手順で進めます。
Create review→SOC report reviewを選びます。- SOCレポートを見ながら、各項目を入力します。
- 途中で保存して閉じることもできます。
- 全ての項目を入力したら、
Finish reviewを選びます。
進行中のSOCレポートのレビューを完了するか削除するまで、新しいSOCレポートのレビューは始められません。
ヘルプでは、SOC 2の対象範囲に入っていて、自社の事業への影響が大きいベンダー(主要なベンダー)のSOC 2レポートを入手することを勧めています。主要なベンダーのうちリスクが高いと判断したベンダーは、入手するだけでなく、レポートをレビューする必要があります。
【注意】 ヘルプでは、リスクの高いベンダーのSOCレポートを読んで評価することは、SOC 2の要件であり、一度きりではなく少なくとも年に1回行う必要があるとしています。
以下は、ヘルプの記事「Reviewing Your Vendors' SOC 2 Reports Using Drata」に沿った、項目ごとの確かめ方です。
レポートの範囲を確かめる
| 項目 | 確かめること | レポートのどこを見るか |
|---|---|---|
SOC Report Issue Date | レポートの発行日。Type 1の基準日や、Type 2の対象期間ではない | 監査人の報告書(監査法人のレターヘッドに記載)。Section 1かSection 2の末尾の、ベンダーの経営者が署名した確認書の日付でも分かる |
SOC Report | SOC 1、SOC 2、SOC 3のどれか | 表紙 |
Type | Type 1か、Type 2か。Type 1は、システムの記述とコントロールの設計についての意見だけを含む。Type 2は、それに加えてコントロールの運用の有効性についての意見を含む | 表紙。Section 1かSection 2の意見(Opinion)の段落に書かれていることもある |
Trust Services Categories Included | SOC 2レポートの場合に、含まれるトラストサービス規準のカテゴリー。全てのSOC 2レポートは、少なくともセキュリティーのカテゴリーを含む | 監査人の報告書の範囲(Scope)の段落(Section 1かSection 2) |
Bridge Letter Received To Provide Full Coverage of our Audit Period | ブリッジレターを受け取ったか。ブリッジレターは、ベンダーのレポートの発行から自社のレポートの対象期間の終わりまでの間に、コントロールに重要な変化がなかったかを伝える、ベンダーの経営者の書面。受け取ったブリッジレターをアップロードする | SOCレポートには含まれない。顧客の依頼に応じてベンダーの経営者が発行する |
意見を読む
Report Opinionには、監査人の意見を記録します。意見は、Section 1かSection 2の意見(Opinion)の段落にあります。
| 意見 | 意味 |
|---|---|
| 無限定の意見 | システムの記述が適正に表示され、コントロールが対象期間を通じて有効に運用されていた(Type 2)か、ある時点で有効に設計されていた(Type 1)と監査人が判断した。例外が記載されていても、意見を修正するほどではないと判断されている |
| 限定付きの意見 | システムの記述とほとんどのコントロールは適正だが、有効に運用されていなかったコントロールがあると監査人が判断した。意見の中に、修正の原因になった例外の詳細が書かれている |
| 否定的意見 | ベンダーに広範で重要な問題があり、1つ以上のコントロールの目的(SOC 1)や規準(SOC 2)を満たしていないと監査人が判断した |
| 意見の不表明 | 監査の範囲の制約のために、監査人が意見を出せなかった |
あわせて、次の項目も入力します。
| 項目 | 記録すること |
|---|---|
Do Control Objectives or Trust Principles Encompass Business Needs | レポートが自社の事業の必要を満たすか。例えば、インフラの提供元に99.999%の稼働率を求めているのに、レポートに可用性のカテゴリーが含まれていなければ、必要を満たさないことがある |
Follow Up Activity if Opinion is Qualified | 限定付きの意見の場合に、自社が行う追加の対応。例えば、重要な例外をベンダーがどう是正したか、どう是正する予定かを確かめるために、追加の情報を求める |
例外を読む
コントロールの例外は、レポートのSection 4に、コントロールの横に「Exception Noted」や「Deficiency Noted」などと書かれています。
- 例外が1つもなければ、
No Findings Identified in the Reportを選びます。 - 例外があれば、
List of Findings in Reportに記録します。複数あるときは、Add Findingで加えます。 - 例外ごとに、自社のコントロールの環境に重要な影響があるかを判断し、
Do the Findings Have Any Material Impact on your Control Environmentで選びます。
例えば、インフラを提供するベンダーで、サーバーへのパッチの適用に関するコントロールに例外があれば、自社に影響します。一方で、全ての従業員に行動規範への同意を求めるコントロールの例外は、自社が使っているサービスには影響しないことがあります。
利用者側のコントロールを確かめる
End User Controlsには、ベンダーのコントロールの効果を十分に得るために、自社の側で必要なコントロールを記録します。レポートのSection 3(システムの記述)の末尾にあり、complementary user entity controlsと呼ばれることもあります。
| 状況 | 操作 |
|---|---|
| 自社に関係する利用者側のコントロールがない | チェックボックスにチェックを入れる。このセクションでそれ以上の作業は不要 |
| 当てはまる利用者側のコントロールを全て実施している | Yes to Allを選ぶ(任意) |
| 当てはまる利用者側のコントロールを実施していない | No to Allを選ぶ(任意) |
| 個別に記録する | + add Controlで、レポートにある利用者側のコントロールを1つずつ加え、実施していればYes、していなければNoを選ぶ |
サービス、拠点、監査法人、再受託会社を確かめる
| 項目 | 確かめること |
|---|---|
| サービス | レポートの対象のサービスのうち、自社が頼っているサービスだけを加える。サービスは、Section 3のシステムの記述にある |
| 拠点 | レポートの対象の拠点に、自社が使っているデータセンターの拠点が全て含まれているか。例えば、AWSのUS-East 1を使っているなら、その拠点が含まれていることを確かめる。拠点は、Section 3の概要(Overview)の段落にある |
| 監査法人 | 監査法人の名前(Section 1かSection 2)と、監査法人が信頼できるかを確かめるために行った手続き(ウェブサイトの確認、検索、ピアレビューの結果など) |
| 再受託会社 | ベンダーが使っている再受託会社(ベンダーのベンダー)をSubservice Organizations in Reportに記録する。Section 3の末尾の「Use of Subservice Organizations and Complementary Subservice Organization Controls」のようなセクションにある |
再受託会社は、レポートにあるコントロールの一部を担います。例えば、ベンダーが他社のデータセンターを使っているなら、物理的なアクセスの制限に関するコントロールを担うデータセンターの事業者が再受託会社です。
| 状況 | 操作 |
|---|---|
| Section 3に再受託会社の記載がない | N/Aにチェックを入れる |
| 署名された経営者の確認書が1つ(1つのサービス組織だけ) | 一体方式(inclusive method)が使われていないため、Noを選ぶ |
| 署名された経営者の確認書が2つ以上 | Yesを選ぶ |
Procedures Performed to Assess Subservice Organizationsには、再受託会社が何をしていて、ベンダーとどう関わるかを理解するために行った手続きを書きます。再受託会社がベンダーにとってどれだけ重要かによっては、再受託会社のSOCレポートもレビューすることがあります。
Drataの外で済ませたレビューを残す
Drataの外で済ませたレビューは、完了した報告書をアップロードしてDrataに残せます(Upload review report)。アップロードした報告書は、監査のために、ベンダーのレビューの履歴に保存されます。
社内メモと所見を残す
TPRM Agentを使ってレビューを進めるときは、評価基準ごとに、気づいたことや判断の理由を2種類の注記で残せます。監査で判断の根拠を説明しやすくなり、社内の考えをベンダーに見せずに、ベンダーに固有の事情を記録できます。
| 注記 | 内容 | 見える範囲 |
|---|---|---|
社内メモ(Internal Note) | 判断の理由を残す。特に、AIの評価を変えたときの理由を書く | 自社だけ。ベンダーには共有されない |
所見(Observation) | レビューで分かった、ベンダーに固有のセキュリティーの状況を残す | レビューの参加者に見える。ベンダーには共有されない |
取引中のベンダーでは、レビューを確定した後に、所見をリスクに変えられます。取引を検討中のベンダーにはリスクを割り当てられないため、所見は記録されますが、リスクには変えられません。
| 残し方 | 手順 |
|---|---|
| 評価基準によらない | 進行中のレビューで、右側のパネルの本のアイコンを選び、Internal NoteかObservationのタブを選んで、文章を入れる。Contextには、レビューの名前の後に(general)と入る。Saveを選ぶ |
| 特定の評価基準について | 進行中のレビューで評価基準を選び、評価基準のパネルでAdd internal noteかAdd observationを選んで、文章を入れる。Contextには、評価基準の名前が入る。Saveを選ぶ |
注記は30,000文字まで入力でき、入力した人の名前と日時とともに保存されます。
進行中のレビュー。右側のパネルの本のアイコンから、社内メモ(Internal Note)と所見(Observation)を残せる
全ての評価基準の評価を終えたら、レビューを確定します。
- レビューの右上の
Finalize reviewを選びます。 Finalize Security Reviewの画面で、Decision(判断)を選びます。- 必要なら、
Noteに全体の評価や確定の理由をまとめます。 Mark review as completeを選びます。
確定すると、評価基準の状態、社内メモ、所見は、レビューの記録として固定されます。所見は、確定したレビューからリスク登録簿に加えられます。
【運用のポイント】 AIが出した評価を人が変えたときは、その理由を社内メモに残します。ベンダーとの打ち合わせで分かった、質問票には出てこない事情も、社内メモに書いておくと、後から判断を説明できます。
次回のレビュー期限を管理する
レビューの状態と期限の表示
Current vendorsの一覧には、レビューの状況を追うためのSecurity review statusとNext review deadlineの列があります。どちらの列でも絞り込めます。
| 状態 | 内容 | 定期レビュー |
|---|---|---|
Up to date | 直近の期限の90日以内にレビューを済ませた | 有効 |
Needs review | レビューの期間が始まっていて、進行中のレビューがない | 有効 |
In progress | レビューを進めている | 有効か無効 |
Completed | レビューが完了していて、定期レビューが有効でない | 無効 |
No past reviews | 一度もレビューを済ませていない | 有効か無効 |
| 期限の表示 | 内容 |
|---|---|
Due soon | レビューの期限まで7日以内 |
Overdue | レビューの期限を過ぎた |
Deadline not set | 定期レビューが有効でない |
Current vendorsの一覧。Security review statusとNext review deadlineの列で、レビューの状況を確かめて絞り込める
定期レビューの全体の設定
Vendors→Vendor settingsを開きます。Recurring reviewsのセクションまでスクロールします。- 期限の何日前にレビューの期間を始めるかを設定します。既定は30日です。
定期レビューで送る質問票は、レビューの期間が始まる日に自動で送られます。
ベンダーごとに定期レビューを設定する
Vendors→Current vendorsを開きます。- ベンダーを選びます。
Manage recurring reviewsを選びます。Schedule recurring reviewsを有効にします。このベンダーのセキュリティーレビューを定期的に行うよう、リマインダーが届くようになります。- レビューの頻度を設定します。
- 必要なら、
Scheduled questionnairesを有効にします。 - 送る質問票と、ベンダーの連絡先のメールアドレスを選びます。
- レビューの開始日と期限を確かめます。
Manage recurring reviewsの画面。レビューの頻度、自動で送る質問票、レビューの開始日と期限を確かめる
複数のベンダーの期限と頻度をまとめて変える方法は、ベンダーの登録と分類で説明します。
期限の自動の調整
レビューの周期を保つために、今の期限の90日以内にレビューを済ませた場合は、次の期限が、レビューを済ませた日ではなく、元の予定をもとに計算されます。
| 例 | 日付 |
|---|---|
| 元の期限 | 6月25日 |
| レビューを済ませた日 | 6月10日 |
| レビューの頻度 | 6カ月ごと |
| 次の期限 | 12月25日(12月10日ではない) |
期限の90日以内であれば、期限より早めにレビューを済ませても、周期が前にずれていくことはありません。