1Password Businessのチームメンバーには、1人に1つずつ従業員保管庫が付きます。他のメンバーとは共有されない場所ですが、個人の持ち物ではなく、会社のアカウントの一部です。この二面性を伝えないまま使い始めると、私物のパスワードが入り、会社が中身を見ているという誤解も生まれます。退職のときには、本人も会社も中身を取り出せなくなることがあります。このページでは、従業員保管庫の性質、中身と情報に届く経路、入れるものと出すもの、個人のものの置き場所、社内への説明の骨子を説明します。退職時に中身を移す作業は退職時の手順で扱います。
従業員保管庫の性質
従業員保管庫は、チームメンバーとして参加した時点で自動的に作られます。ゲストには作られません。保管庫の一覧では従業員と表示されます。
共有保管庫とは扱いが違う点が4つあります。
- 名前の変更も削除もできません。
- パーミッションを変更できません。本人以外の人やグループにアクセスを渡すこともできません。
- サービスアカウントからは読めません。自動化に使う値は置けません。
- 本人のアカウントを削除すると、中のアイテムは復元できません。
本人以外が使うものを置く場所としては、最初から作られていません。業務で他の人も使うものは共有保管庫に入れる、という前提で設計されています。
中身と情報に届く経路
中身は見えなくても、件数や一部の情報は見えます。社内に説明するときは、この区別を正確に伝える必要があります。
| 誰が | 何に届くか |
|---|---|
| 本人 | 中身の全て |
| 他のチームメンバー | 何も見えない |
所有者と管理者 | 中身には直接届かない。ただしアカウントの復旧を持っている |
| レポートを作れる人 | 保管庫ごとのアイテムの件数と、問題の件数 |
アカウントの復旧を持つ人 | 本人のアカウントを復旧すれば中身の全て。本人のメールの受信箱も必要 |
Provision Managersのメンバー | 本人がセットアップを終える前の従業員保管庫 |
ほかに、機能を有効にしたときだけ一覧に出るものがあります。クレデンシャルの所有権を扱う機能とSaaS Managerのアプリ検出は、会社のメールアドレスをユーザー名にしたログインを従業員保管庫からも拾います。本人が個人の用途で保存したものでも対象になります。有効にする前の周知はクレデンシャルの所有権を会社に移すとSaaS Managerとの統合で扱います。
【注意】 復旧は、中身に届く唯一の経路です。緊急時に会社が業務のクレデンシャルを取り戻す手段でもあり、悪用されれば他人のアカウントを乗っ取る手段にもなります。復旧を担う人の選び方は復旧の設計(誰が復旧できるか)で扱います。
入れるものと出すもの
判断の基準は、本人がいなくなった後にも会社が使うかどうかです。
従業員保管庫に入れるもの
本人だけが使い、本人がいなくなれば不要になる業務のクレデンシャルです。本人の業務メールのパスワードや、本人名義で発行された業務システムのアカウントが当たります。
共有保管庫へ出すもの
他の人も使うもの、引き継ぐ必要があるもの、会社名義のものです。本人しか使っていなくても、取引先のポータルの担当者用アカウントのように、後任が同じアカウントを使い続けるものはこちらに入れます。入れる保管庫の決め方は保管庫の分割パターンで扱います。
業務のアカウントに入れないもの
個人の銀行、買い物、SNS、家族のものなど、業務と関係のないものです。従業員保管庫は会社のアカウントの一部なので、退職と同時に使えなくなります。
個人のものはFamiliesに置く
1Password Businessのチームメンバーは、無償の1Password Familiesを使えます。個人のものの置き場所として、これを案内してください。
業務のアカウントと連結して引き換えますが、会社と共有されるのは契約の状態だけです。会社はFamiliesの中身にアクセスできず、管理もできません。既に個人で1Passwordを使っている人は、そのアカウントに無償の枠を適用できます。
退職すると連結が外れ、無償の試用期間に入ります。本人が支払い方法を登録すれば、そのまま使い続けられます。業務のアカウントを一時停止すると移せなくなるため、移す作業は退職の手続きより前に済ませてもらいます。業務のアカウントからFamiliesへアイテムを移す操作は、アプリで行います。1Password.comでは、アカウントをまたいでアイテムを移せません。本人向けの手順は個人アカウントとの使い分けで扱います。
社内への説明の骨子
従業員保管庫について伝えることは、次の4点に絞れます。
- 業務のものだけを入れる場所であること
- 会社は中身を直接見ないが、件数は見えること。機能を有効にした場合は、会社のメールアドレスで作ったログインも一覧に出ること
- 急な退職などのときは、会社が復旧を通じて中身に届くことがあること
- 退職時にアカウントを削除すると中身は戻らず、個人のものは無償のFamiliesに置けること
【運用のポイント】 この4点は、入社時の案内、利用規程、入社時の同意書の3カ所で同じ文面を使ってください。入社時の同意書に書いておくと、急な退職のたびに本人の同意を取り直す必要がなくなります。案内の組み込み方は入社時の手順で扱います。