1Passwordを配る前に、社員の端末がどの版のOSとブラウザーで動いているかを確かめます。アプリが動くかどうかだけでなく、パスキーやUnlock with SSOのような機能は、それぞれに一段高い要件を持っています。要件を下回る端末が残ると、ポリシーを有効にした日に一部の社員だけが使えない状態が生まれます。このページでは、要件を確かめる順序、OSごとのアプリの要件、機能によって上がる要件、ブラウザー拡張機能と1Password.comの要件、旧世代のアプリが残る端末、Linuxの端末、棚卸しの進め方を説明します。
要件を確かめる順序
要件は3層に分けて確かめます。1層目はアプリを入れられるかを決めるOSの版、2層目は拡張機能を使えるかを決めるブラウザーの版、3層目は使いたい機能ごとの追加の要件です。
先にOSとブラウザーで足切りをしてから、機能の要件を見ます。機能の要件は、導入の方針によって要るものと要らないものが分かれます。Unlock with SSOを使わない組織は、その行を気にする必要がありません。
OSごとのアプリの要件
現行の1Password 8が動くOSの版は次の通りです。
| OS | 1Password 8の要件 |
|---|---|
| macOS | macOS Monterey 12以降 |
| Windows | 64ビット版のWindows 10以降 |
| iOS、iPadOS | 18以降 |
| Android | 12以降。Google Playが使えること |
| Linux | 64ビットのx86またはARMのプロセッサー、GNU C Library 2.31以降 |
Windowsは、さらに入れ方で要件が変わります。MSIXのインストーラーはWindows 10の20H1以降が必要です。それより前の版にはMSIのインストーラーを使います。入れ方の選び方はWindows版アプリのデプロイで扱います。
対応環境として示されているWindowsは、Windows 10以降のクライアントOSです。サーバーOSのセッションホストで使う場合の考え方は、VDI環境でのデプロイで扱います。
機能によって上がる要件
アプリが動いても、次の機能はさらに条件を求めます。
| 機能 | 追加の要件 |
|---|---|
| Unlock with SSO | 全てのOSで1Password 8 |
| Macでの自動入力 | macOS 14以降 |
| Magic KeyboardのTouch ID | Appleシリコンを搭載したMacと、macOS 11.4以降 |
| Macでのセキュリティーキー | macOS 12以降 |
| Windowsのアプリでのパスキー | Windows 11以降で、MSIXのインストーラーで入れたアプリ |
| iOSでのパスキー | iOS 18以降 |
| Androidでのパスキー | Android 14以降 |
| Androidの生体認証 | 指紋はAndroid 6以降、顔や目はAndroid 10以降 |
| モバイルのアプリでのインポートとエクスポート | 1Password 8.12以降で、iOSとiPadOSは26以降、Androidは14以降 |
見落としやすいのはWindowsのパスキーです。Windows 11の端末でも、MSIで入れたアプリではパスキーを保存して使えません。パスキーを社内で勧める予定があるなら、入れ方の段階でMSIXを選んでおきます。
ブラウザー拡張機能と1Password.comの要件
ブラウザー拡張機能は、1Password.comをブラウザーで開くよりも新しい版を求めます。
| ブラウザー | 拡張機能 | 1Password.com |
|---|---|---|
| Chrome | 140以降 | 128以降 |
| Edge | 140以降 | 128以降 |
| Firefox | 140以降 | 128以降 |
| Brave | 1.82.0以降 | 1.69.0以降 |
| Safari | macOS Ventura 13以降のSafari 18.6以降 | macOS Monterey 12以降のSafari 16以降 |
【注意】 ブラウザーの延長サポート版を使っている組織や、業務システムの都合でブラウザーの版を固定している組織は、拡張機能の要件を下回っていないか確かめてください。1Password.comには入れても拡張機能が動かず、自動入力だけが使えない状態になります。
配り方はブラウザー拡張機能のデプロイで扱います。
旧世代のアプリが残る端末
1Password 6と、古い版の1Password 7はサポートが終わっています。該当するのは、Windowsの7.9.835以前、Macの7.9.10以前、iOSの7.10.1以前、Androidの7.9.3以前です。
これらのアプリで行った変更は、ほかの端末に同期されません。社員は保存したつもりでいても、ほかの端末には届いていません。加えて、MDMで配る設定は1Password 7以前には効きません。個人で昔から使っていた社員の端末ほど、旧世代のアプリが残っています。配布の前に消しておくか、少なくとも1Password 8に入れ替えてもらいます。
Linuxの端末
Linuxで対応しているディストリビューションは、CentOS 9以降、Debian 11以降、Fedora 32以降、Red Hat Enterprise Linux 9以降、Ubuntu 20.04 LTS以降です。Ubuntuは、Snapで入れる場合に限り18.04 LTSから使えます。
.debや.rpmのパッケージで入れると、1Passwordのリポジトリーと署名の鍵が登録され、以降はOSのパッケージの更新と一緒に更新されます。Snapで入れた場合も自動で更新されます。.tar.gzで入れた場合は、ファイルを入れ直すまで更新されません。
Linuxには、MacやWindowsのように設定をまとめて固定する仕組みがありません。ロックの固定も、効くのは自動ロックだけです。1Password側のポリシーで固定できる範囲はロックと自動ロックの強制で扱います。拡張機能とアプリをつなぐブラウザーを追加するときは、/etc/1password/custom_allowed_browsersにブラウザーの実行ファイルの名前を1行ずつ書きます。構成管理のツールでこのファイルを配れば、端末ごとの操作は要りません。
棚卸しの進め方
棚卸しには、MDMや資産管理のツールにあるOSとブラウザーの版の一覧を使います。1Passwordを配る前の段階では、1Password側に端末の情報がないためです。
配り始めた後は、レポートのデバイスレポートで、アプリの版と持ち主を確かめられます。旧世代のアプリが残っている社員もここで分かります。レポートの読み方はサインイン試行と端末のレポートで扱います。
【運用のポイント】 要件を下回る端末は、1Password側のポリシーを有効にする前に0台にします。古いアプリからのサインインを止める設定と、最新版に保つ設定の関係はアプリのバージョンの強制で扱います。