Unified Accessの導入は、製品を契約して設定すれば終わる作業ではありません。セキュリティー審査、設計、社員への配布、稼働後の定期作業までが一続きで、関わる部署も製品ごとに変わります。段階ごとに何が終われば次へ進めるのかと、誰が何を持つのかを最初に決めておくと、途中で止まる原因の多くを避けられます。このページでは、検討から稼働までの段階、各段階を終える条件、製品ごとの体制、役割の置き方、巻き込む部署、正規販売代理店(デジタルアクセルズ)の役割、稼働後に引き継ぐ作業を説明します。
段階と終える条件
期間は組織の規模と製品の数で大きく変わるため、ここでは期間ではなく、各段階を終える条件で区切ります。
| 段階 | 終える条件 | 本ガイドのページ |
|---|---|---|
| 検討 | 解決したい課題と、最初に入れる製品が決まっている | どの課題にどの製品が対応するか |
| 評価 | セキュリティー審査と法務の確認が済んでいる | セキュリティー審査への回答の作り方 |
| 契約 | 製品の組み合わせと契約の単位が決まっている | 導入の順序と広げ方 |
| 設計 | リージョン、テナント、管理者、プロビジョニングの方式が決まっている | リージョンの選択とデータの保管場所 |
| 構築とパイロット | 少人数で使い、問題の洗い出しと手順の修正が済んでいる | ロールアウト計画とパイロット |
| 全社への拡大 | 対象者の大半が使い始め、窓口の問い合わせが落ち着いている | ユーザー教育の進め方 |
| 運用への移行 | 定期作業の担当と頻度が決まり、プロジェクトの体制から引き継がれている | このページの最後の節 |
設計の段階で決めることの中には、後から変えられないものがあります。リージョンはアカウントを作り直さないと変えられず、テナントの構成も移行に手間がかかります。契約の前に設計の主な方針を固めておくと、契約の内容と設計の食い違いを防げます。
製品ごとの体制
製品ごとに管理コンソールと管理者が分かれるため、体制も製品の単位で組みます。
| 役割 | Enterprise Password Manager | SaaS Manager | Device Trust |
|---|---|---|---|
| 管理の主担当 | 情報システム部門 | 情報システム部門 | 情報システム部門 |
| 判断に加わる部署 | セキュリティーの担当者 | 経理、購買、各アプリの担当者 | セキュリティーの担当者、人事 |
| 社員との接点 | 社内の窓口 | アプリの利用申請の承認者 | 例外の申請の承認者 |
Privileged Accessは基盤の担当者、Credential Brokerは開発の責任者が主に関わります。どちらもEnterprise Password Managerの設計と結び付くため、情報システム部門との分担を先に決めておきます。
役割の置き方
体制の中で、人を決めておかないと進まない役割が3つあります。
プロジェクトの責任者
製品をまたいで段階の進み方を判断する人です。製品ごとの管理者が決まっていても、全体で次の段階へ進むかを決める人がいないと、製品ごとに進み方がばらばらになります。
製品ごとの管理者
Enterprise Password Managerでは所有者と管理者を誰にするかがここに当たり、SaaS Managerとリンクすると、そのままSaaS Managerの管理者にもなります。人数と人選は所有者と管理者の設計に沿って決めてください。
社内の窓口
社員からの問い合わせを受け、復旧の依頼や例外の申請を管理者につなぐ役割です。窓口が受けていいことと、受けてはいけないことの線引きは社内問い合わせへの備えで扱います。
巻き込む部署
情報システム部門だけで進めると、評価や拡大の段階で別の部署の確認待ちになります。最初の段階から加わってもらう部署は次の通りです。
| 部署 | 加わる理由 |
|---|---|
| 法務、内部監査 | データの保管場所と第三者の監査の報告書を確かめる。特権やアクセスの見直しの記録を監査の証跡に使えるかを判断する |
| 人事 | 入社と退職の日付を、プロビジョニングやSaaS Managerの起点にする |
| 経理、購買 | SaaSの契約と支出のデータを持っている |
| 労務、社員の代表 | 端末やブラウザーの利用を見る仕組みを、社員にどう説明するかを決める |
労務への相談は、Device TrustとSaaS Managerのブラウザー拡張機能を入れるときに特に重要です。何を集め、何を集めないかを就業規則や社内の規程とどう結び付けるかを、配布の前に決めておいてください。
正規販売代理店の役割
契約、見積もり、製品の提供状況の確認、1Password社への問い合わせは、正規販売代理店(デジタルアクセルズ)を通じて行います。新しい製品や公開プレビューの機能は変化が速いため、評価の段階と契約の直前に、最新の状況を確かめてください。第三者による監査の報告書は、1Password社のTrust Centerから入手します。手順は第三者による監査と報告書の入手で扱います。
稼働後に引き継ぐ作業
プロジェクトを閉じる前に、定期作業の担当と頻度を決め、運用の体制に引き継ぎます。頻度は、組織の監査の周期に合わせて決めます。
| 作業 | 担当の例 | 本ガイドのページ |
|---|---|---|
| 保管庫とアクセス権の棚卸し | 情報システム部門と保管庫の責任者 | 保管庫とアクセス権の棚卸し |
| ログの確認とアラートの見直し | セキュリティーの担当者 | ログの保管とアラートの設計 |
| 管理者の体制の確認 | プロジェクトの責任者 | 管理者を失わないための備え |
| 入社、異動、退職の手順の見直し | 情報システム部門と人事 | 退職時の手順 |