1Passwordの導入は、アプリを配って招待を送れば終わるものではありません。社員が使い始めた後では変えにくい設定があり、アカウントパスワードのポリシーのように、招待の後に決めると既に参加した人には効かないものもあります。一度に全社へ招待すると、つまずいた人の問い合わせが同じ週に集まります。段階を分け、パイロットで手順を固めてから広げれば、問題が小さいうちに直せます。このページでは、段階に分ける理由、招待の前に終えておくこと、段階の刻み方、パイロットの人選と期間、次の段階へ進む基準、ほかの切り替えと日程を重ねない理由を説明します。
段階に分ける理由
後から直しにくいものは3種類あります。1つ目は、遡って効かない設定です。2つ目は、社員が作ったものです。誰でも共有保管庫を作れる状態で始めると、命名の規則がないまま保管庫が増え、後から整理するには作った本人の協力が要ります。3つ目は、社員の習慣です。最初の週にブラウザーへの保存を続けた人は、その後も同じ操作を続けます。
段階を分けると、この3つを少人数のうちに確かめられます。手順書の抜けや、問い合わせの型も、パイロットの間にほとんど出そろいます。
招待の前に終えておくこと
次の項目は、最初の社員を招待する前に済ませます。
| 項目 | 先に済ませる理由 | 扱うページ |
|---|---|---|
| 所有者を2人以上にする | 所有者の復旧は別の所有者が担う | 所有者と管理者の設計 |
| 復旧を担う人と本人確認の手順 | 導入の直後はパスワードを忘れる人が最も多い | 復旧の設計(誰が復旧できるか) |
| アカウントパスワードのポリシー | 参加済みの人には遡って効かない | アカウントパスワードポリシー |
| 共有保管庫を作れる人 | 既定では全員が作れる | 組み込みグループの役割 |
| 保管庫の構成と中身 | 空の保管庫は使われない | 保管庫の分割パターン |
| プロビジョニングの方式 | 設定した時点のメンバーが基準として記録される | Account Trust Logの役割 |
| アプリと拡張機能の配布 | 招待の当日に使える状態にする | ブラウザー拡張機能のデプロイ |
【注意】 アカウントパスワードのポリシーは、招待の後に厳しくしても、参加済みの人のパスワードは弱いまま残ります。新しい条件が効くのは、本人がパスワードを変えたときか、復旧したときだけです。パイロットの参加者も対象なので、パイロットの招待より前に決めてください。
段階の刻み方
段階は4つに分けます。それぞれの段階で、次の段階に持ち込む成果物を決めておきます。
IT部門と管理者
最初に、管理者と情報システム部門が自分たちのアカウントで使い始めます。この段階で、社員向けの案内の下書き、ヘルプデスクの想定問答、移行の手順を作ります。
パイロット
部門をまたいだ少人数で、本番と同じ手順を試します。案内と手順書は、ここで出た質問をもとに書き直します。
部門ごとに広げる
部門を1つずつ、または数部門ずつ招待します。招待の時期を部門ごとにずらすと、問い合わせの量をならせます。部門ごとの推進役も、この段階で決めます。
全社
残りの全員を招待し、ブラウザーの保存を止めるポリシーを配ります。保存を止めるのは、移行が済んだ後です。止め方はブラウザー内蔵のパスワード保存を止めるで扱います。
Unlock with SSOを使う場合、SSOの切り替えはこの4段階とは別に刻みます。設計は導入前の確認とロールアウト設計で扱います。
パイロットの人選と期間
目安は10〜30人、期間は2〜4週間です。人数を増やすより、条件の違う人を混ぜることを優先します。
- MacとWindowsの両方の利用者
- ChromeとEdgeなど、違うブラウザーの利用者
- ブラウザーに保存していた人、表計算で管理していた人、ほかのパスワードマネージャーを使っていた人
- 在宅勤務の人と、仮想デスクトップの利用者
- 情報システム部門の外の人
役員や情報システム部門だけで固めると、つまずく人が出ないまま本番に進むことになります。
パイロットは本番のアカウントで行います。試験用に別のアカウントを作ると、本番に移るときに社員がアイテムを移し直すことになります。招待した人は、受け入れた日から課金の対象になる点も計画に入れておきます。招待の段取りは入社時の手順で扱います。
次の段階へ進む基準
基準は、始める前に数値で決めておきます。次の値は目安です。
| 指標 | 確かめる場所 | 進む目安 |
|---|---|---|
| 拡張機能が有効な人の割合 | アダプションレポート | 対象者の9割以上 |
| 問い合わせの種類 | 窓口の記録 | 新しい種類が出なくなった |
| 移行の進み具合 | 本人の申告 | ブラウザーの保存を止めても困らない |
| 復旧の処理 | 窓口の記録 | 手順書の通りに完了できた |
レポートの見方は利用状況と定着のレポートで扱います。
ほかの切り替えと日程を重ねない
問い合わせが増える時期に、別の変更を重ねないようにします。避けたい時期は次の3つです。
- OSの大きな更新、IDプロバイダーの移行、Device Trustの導入と同じ週
- 4月の入社と異動が集中する時期
- 大型連休と年末年始の直前
招待のメールは5日で期限が切れます。連休の前に送ると、休み明けには切れています。