1Passwordは、社員が毎日使って初めて効果が出ます。社員が最初に迷うのは、操作の細部より判断の部分です。何をどの保管庫に入れるのか、ブラウザーの保存と何が違うのか、パスワードを忘れたら誰に頼むのか。操作はアプリの画面が案内しますが、判断の基準は組織が示さないと誰も決められません。教える量を増やすより、伝えることを絞り、繰り返し目に触れる形にする方が定着します。このページでは、伝えることの絞り方、社内の利用ルール、伝え方の組み合わせ、伝える時期、定着の確かめ方、英語のヘルプとの付き合い方を説明します。
伝えることを3つに絞る
最初に伝えるのは、次の3つだけにします。保存や自動入力の操作は、使い始めれば画面から覚えます。
| 伝えること | 伝えないと起きること | 詳しいページ |
|---|---|---|
| 業務のパスワードは全て1Passwordに入れ、ブラウザーには保存しない | 保存先が2つに割れ、退職時に回収できない | ログインの保存 |
| 従業員保管庫は業務用で、私物は個人のアカウントに入れる | 退職時に私物ごと消える | 個人アカウントとの使い分け |
| アカウントパスワードは誰にも再設定できない | 忘れた人が窓口で待たされる | 初回セットアップとサインイン |
3つ目には、Emergency Kitの保管場所と、社内の窓口がアカウントパスワードを尋ねないことを添えます。
社内の利用ルールを先に作る
案内を書く前に、1Passwordの使い方の社内ルールを1枚にまとめます。決めておくのは次の項目です。
- 入れていいものと、入れてはいけないもの
- 共有保管庫を作れる人と、作ってほしいときの頼み方
- 社外とアイテムを共有するときの手段
- 管理者に見えるものと、見えないもの
- 退職時に従業員保管庫がどうなるか
管理者に見えるものの説明は、社員の不安に直接答える部分です。従業員保管庫の中身は管理者にも見えないこと、復旧の手続きを経れば会社がアクセスできることを、両方とも書きます。説明の材料はセキュリティー審査への回答の作り方で扱います。
【運用のポイント】 ルールは就業規則や情報セキュリティーの規程に組み込むより、独立した1枚にした方が読まれます。規程には「1Passwordの利用ルールに従う」とだけ書き、ルールの本体を差し替えやすくしておきます。
伝え方を組み合わせる
1つの手段で全員に届けようとせず、3つを組み合わせます。
社内の案内ページ
全ての案内の行き先になるページを1本作ります。招待のメール、説明会の資料、窓口の回答から、同じページへリンクします。入社時の初日の案内にも、次の項目を定型文として組み込みます。
| 項目 | アカウントパスワードで使う組織 | Unlock with SSOで使う組織 |
|---|---|---|
| サインインアドレス | 組織のアドレス(例:example.1password.com) | 同じ |
| 最初の操作 | 招待のメールから参加し、アカウントパスワードを作り、Emergency Kitを保存する | 招待のメールから参加し、会社のアカウントでサインインする |
| アプリの入手先 | 配布済みか、社内のソフトウェアの配布の窓口 | 同じ |
| 保管庫の使い分け | 従業員保管庫は業務用、私物は個人のアカウント | 同じ |
| 困ったとき | 社内の窓口の連絡先 | 同じ |
短い説明会
30分程度で、実演を中心にします。ブラウザーでサインインしたときに保存し、次の訪問で自動入力し、新しいパスワードを生成する、という一連の流れを見せれば足ります。録画しておけば、入社した人にも同じものを渡せます。
部門の推進役
部門ごとに1人、身近で聞ける人を置きます。パイロットの参加者から選ぶと、最初から答えられる状態で始められます。共有保管庫の作成を任せる人と同じ人にすると、保管庫の頼み先も1つになります。
伝える時期
一度にまとめて伝えず、段階に合わせて分けます。
| 時期 | 伝えること |
|---|---|
| 招待の1週間前 | 何が変わるか、招待のメールがいつ、どの差出人から届くか |
| 招待の当日 | 案内ページと、最初の操作 |
| 最初の1週間 | 説明会、既存のパスワードの移行 |
| 2〜4週間後 | ブラウザーの保存を止める日の予告 |
| 定着の後 | 利用ルールの変更と、新しい機能 |
差出人の予告は省かないでください。標的型メールの訓練をしている組織ほど、見慣れない差出人の招待は不審なメールとして扱われ、開かれません。
定着を確かめる
アダプションレポートで、拡張機能を設定している人を部門ごとに確かめます。拡張機能がない人は、ブラウザーへの保存を続けている可能性が高いからです。数値が伸びない部門は、推進役を通じて理由を聞きます。多いのは、拡張機能がアプリとつながっていない、ブラウザーの保存の提案が先に出る、の2つです。
使っていない人に、インサイトからリマインダーを送ることもできます。送る前に、文面が英語で届くことを社員に伝えておきます。レポートは利用状況と定着のレポート、リマインダーはインサイト通知の設計で扱います。
英語のヘルプとの付き合い方
1Passwordのヘルプの記事は英語だけです。社員に英語の記事を案内しても、ほとんど読まれません。社内の案内は日本語で自前に用意し、操作の詳細は本ガイドの社員向けのページへリンクします。
日本語の画面には表記のゆれが残り、更新で表示も変わります。案内に載せる画面の写しは自社の環境で撮り、年に一度など時期を決めて見直してください。日本語の画面の注意点は日本語環境で注意することで扱います。