導入の直後に社内の窓口へ届くのは、使い方の質問より「入れない」「見えない」という問い合わせです。1Passwordでは、社内の窓口も1Password社もアカウントパスワードを再設定できません。ほかの業務システムと同じ感覚でパスワードのリセットを受け付けると、窓口では解決できない約束をすることになります。答えられることと答えられないことを先に分け、型ごとに受け方を決めておけば、担当者が替わっても対応がそろいます。このページでは、問い合わせの型、窓口が答えられないこと、本人確認と復旧の受け付け、端末をなくしたときの受け方、窓口で集める情報、障害かどうかの切り分け、上位への引き継ぎを説明します。
問い合わせの型を先に分ける
導入の直後に多い問い合わせは、次の型に分かれます。想定問答は、この型ごとに作ります。
| 型 | よくある原因 | 一次対応の行き先 |
|---|---|---|
| パスワードが通らない | 日本語入力がオン、別のアカウントのパスワード | 日本語環境で注意すること |
| 共有保管庫が見えない | 管理者の確認の操作が済んでいない | 招待と確認の流れ |
| 新しい端末でサインインできない | Secret Keyが手元にない | サインインできないときと端末を失ったとき |
| 自動入力されない | 拡張機能とアプリがつながっていない | アプリとブラウザー拡張機能の接続 |
| SSOでロックを解除できない | IDプロバイダー側の設定や障害 | SSO環境でのトラブル対応 |
| 英語のメールが届いた | インサイトからの通知、ドメインの漏洩の通知 | インサイト通知の設計 |
| 端末をなくした | ― | このページの「端末をなくしたときの受け方」 |
英語のメールについては、通知を送る側の担当者と窓口とで、送る日と文面の和訳を共有しておきます。送った後で窓口が初めて知る、という順序を避けます。
窓口が答えられないこと
アカウントパスワードは、本人以外の誰にも分かりません。窓口ができるのは、新しいSecret Keyと新しいアカウントパスワードを作り直してもらう復旧の手続きだけです。従業員保管庫の中身も、窓口からは見えません。
窓口の台本には、次の1文を入れます。社内の窓口は、アカウントパスワード、Secret Key、Emergency Kitを尋ねません。画面共有でも見せてもらいません。1Password社のサポートも、これらを尋ねることはありません。社員に同じことを伝えておけば、窓口を名乗る問い合わせを不審だと判断できます。
【注意】 パスワードは忘れたが、生体認証でまだ開ける、という相談があります。生体認証で開ける期間は、いずれ切れます。切れる前に、業務時間の中で復旧を済ませるよう案内してください。データを書き出して退避する方法は勧めません。暗号化されていないファイルが端末に残るうえ、
アイテムのエクスポートのパーミッションがない保管庫からは書き出せません。
本人確認と復旧の受け付け
復旧の依頼はメールやチャットで届きますが、依頼そのものがなりすましかもしれません。復旧を始める前に、メール以外の経路で本人に確かめます。確かめ方は復旧の設計(誰が復旧できるか)で決めておきます。
窓口が受け付けから完了までを担う場合は、次の3点を守ります。
- 窓口の担当者にメールシステムの管理を兼ねさせない
- 完了させる人が対応できる時間帯に始める
- 依頼の記録がないまま完了待ちになっている人は、完了させずに本人に確かめる
Unlock with SSOを使っている組織では、SSOの対象のグループから外れた人も復旧の手続きに入ります。異動の後に「急に入れなくなった」という問い合わせがきたら、グループの付け替えを疑います。手順は復旧の実行手順で扱います。
端末をなくしたときの受け方
最初に、なくしたときにアプリがロックされていたかを聞きます。答えで対応が分かれます。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| ロックされた状態でなくした | 本人がSecret Key の再生成を行い、なくした端末の認証を解除する。管理者も人の詳細から端末を外せる。アカウントパスワードは変えなくていい |
| ロックが解除された状態で触られた、マルウェアの疑いがある | 一時停止、メールのパスワードのリセット、一時停止の解除、復旧の順に進める |
| 盗まれて、ロックの状態が分からない | 上の対応に加え、その人がアクセスできた保管庫のパスワードを変える |
最後の場合、変えるパスワードは使用状況レポートで絞り込みます。見方は利用状況と定着のレポートで扱います。端末そのもののロックや消去は、MDMの手順に従います。
窓口で集める情報
問い合わせを受けたら、次の情報を最初にそろえます。
- OSとそのバージョン
- 1Passwordのアプリのバージョン
- 使っているブラウザーと、拡張機能が入っているか
- サインインの方法(アカウントパスワードかUnlock with SSOか)
- 表示されたメッセージと、いつから起きているか
アプリのバージョンは、Macではメニューバーのアプリ名のメニューから、Windowsでは設定の中のアプリの情報から確かめられます。

画面の写真を送ってもらう場合は、伏せ字になっていないパスワードなどが写っていないかを確かめてから受け取ります。1Passwordのアプリは診断レポートを作れますが、窓口では集めません。社内のチケットにも添付させず、上位への引き継ぎで指示された宛先にだけ本人が送ります。
障害かどうかの切り分け
同じ時間帯に複数の人から問い合わせがきたら、まず<a href="https://1password.statuspage.io" target="_blank">1Passwordのステータスページ</a>で障害が出ていないかを確かめます。障害がなければ、範囲で原因を絞ります。
| 範囲 | 疑う原因 | 扱うページ |
|---|---|---|
| 1台の端末だけ | その端末の入力や設定。別の端末で通るかを確かめる | サインインできないときと端末を失ったとき |
| 特定の拠点や在宅の人だけ | ファイアウォールのルール、プロキシー | ファイアウォールルールによる制限 |
| SSOの利用者全員 | IDプロバイダーの障害、クライアントシークレットの期限切れ | SSO環境でのトラブル対応 |
| 古い端末だけ | アプリのバージョンの強制 | アプリのバージョンの強制 |
上位への引き継ぎ
窓口で解決できないものは、次の順に引き継ぎます。
| 段階 | 担う人 | 扱う内容 |
|---|---|---|
| 一次 | 社内の窓口 | 型の判定、情報の収集、案内ページへの誘導 |
| 二次 | 所有者、管理者、復旧の担当 | 復旧、確認の操作、グループと保管庫の変更、ポリシー |
| 三次 | 正規販売代理店(デジタルアクセルズ) | 製品の不具合の疑い、仕様の確認 |
1Password社への問い合わせは、正規販売代理店(デジタルアクセルズ)を通じて行います。診断レポートを求められた場合も、その指示に従って本人が送ります。
問い合わせの増える日は、事前に分かります。招待の送信、ブラウザーの保存の停止、2要素認証やDuoの有効化は、窓口が対応できる平日に行い、連休の直前は避けてください。全体の日程はロールアウト計画とパイロットで扱います。