ディスク暗号化の状態を把握し、回復キーを保管します。端末の紛失・盗難時のリスクを下げると同時に、復旧できない事態を防ぐための機能です。
暗号化と回復キーの関係
ディスク暗号化を有効にすると、端末を紛失してもデータを読み取られません。ただし、正規の利用者が起動できなくなった場合も同様にデータへアクセスできなくなります。
これを解決するのが回復キーです。キーがあれば、パスワードを忘れた場合やハードウェア構成が変わった場合でも復旧できます。
キーが保管されていない暗号化済み端末は、故障した時点でデータを失います。暗号化を有効にすることと、キーを保管することはセットです。
状態の確認
デバイス詳細画面のDetailsタブにあるDisk volumeで確認できます。

Bitlocker statusがEnabledでも、Missing recovery keyと表示されていればキーが保管されていない注目すべきはMissing recovery keyという表示です。暗号化は有効になっているが、回復キーがNinjaOneに保管されていない状態を示します。
| 状態 | リスク |
|---|---|
| 暗号化が無効 | 紛失時に情報漏えいの可能性 |
| 暗号化が有効、キーあり | 適切な状態 |
| 暗号化が有効、キーなし | 復旧できない。最も危険 |
3番目の状態は見落とされやすい組み合わせです。「暗号化されているから安全」と考えていると、ディスク障害やマザーボード交換の際にデータを失います。
【注意】
Missing recovery keyの端末を一覧で抽出できるようにしてください。暗号化の有効化だけを推進して、キーの保管を確認していない組織は少なくありません。まず現状を把握することから始めてください。
対応する暗号化方式
| OS | 暗号化方式 |
|---|---|
| Windows | BitLocker |
| macOS | FileVault |
いずれもOSに標準搭載された機能です。NinjaOneはこれらの状態を取得し、回復キーを保管します。
キーの保管
キーがNinjaOneに保管されていれば、必要なときに参照できます。
保管されていない端末では、キーを取得して保管する作業が必要です。既に暗号化されている端末に対して後から保管する手順は、OSや構成によって異なります。
新しく展開する端末では、暗号化の有効化とキーの保管を同時に行う設計にしてください。キッティングの手順に組み込むのが最も確実です。
キーを参照できる人の制御
回復キーは、実質的にそのデバイスのデータへアクセスできる情報です。参照できる範囲を厳密に制御してください。
| 役割 | キーへのアクセス |
|---|---|
| ヘルプデスク一次対応 | 原則として不可 |
| インフラ運用担当 | 必要時のみ |
| 情報セキュリティー責任者 | 可 |
参照した記録が残ることも確認してください。誰がいつどの端末のキーを参照したかが追跡できる状態にしておく必要があります。
権限の設計は権限設計の考え方を参照してください。
復旧が必要になったときの手順
利用者が起動できなくなった場合の流れです。
- 本人確認を行う
- 対象デバイスを特定する
- 回復キーを参照する
- 利用者にキーを伝える、または遠隔で入力を支援する
- 起動を確認する
- 参照した記録を残す
1番目を省略しないでください。電話やメールでの依頼が本人からのものか確認せずにキーを渡すと、なりすましによる情報漏えいにつながります。
【運用のポイント】 回復キーの伝達手段を決めておいてください。メールで平文送信するのは避けるべきです。電話で読み上げる、社内ポータル経由で渡す、対面で伝えるなど、組織の方針に沿った手段を用意してください。
全体の状況を把握する
個別のデバイスではなく組織全体の暗号化状況を確認するには、レポートを使います。

一覧で確認できる項目は次の通りです。
| 列 | 内容 |
|---|---|
Device type | Device Roleによる分類 |
Volume | 対象のボリューム |
TPM status | TPMが利用できる状態か |
TPM version | TPMのバージョン |
Disk encryption status | 暗号化の有効・無効 |
TPM statusが取得できる点が実務では重要です。TPMがNot detectedのデバイスでは、BitLockerを標準的な方法で有効化できません。暗号化を全社展開する計画を立てる際、対応できない機器がどれだけあるかを先に把握できます。
グラフはDevice Roleごとに集計されるため、「サーバーは暗号化しているがクライアントが未対応」といった偏りも見えます。
レポートの出力方法はレポートの種類と作成を参照してください。
監査への対応
暗号化の状況は、監査で確認される項目です。次を説明できる状態にしておいてください。
| 質問 | 準備しておくもの |
|---|---|
| 全端末が暗号化されているか | 暗号化状態の一覧 |
| 回復キーは保管されているか | Missing recovery keyが0件であること |
| キーを参照できるのは誰か | 権限設定の一覧 |
| 参照の記録は残っているか | 操作ログ |
| 暗号化されていない端末の理由 | 例外の記録と承認 |
レポートとして定期出力する方法はレポートの種類と作成を参照してください。