検出された脆弱性に、どの順序で対応するかを判断します。全てに同時に対応することはできないため、優先順位を付ける基準が必要です。
CVSSスコアだけで判断しない
深刻度を示すCVSSスコアは重要な指標ですが、これだけで優先順位を決めると判断を誤ります。
スコアは「その脆弱性が悪用された場合の深刻さ」を示すもので、「自社にとってのリスク」ではありません。
| 状況 | CVSSスコア | 実際のリスク |
|---|---|---|
| サーバー向け機能の脆弱性だが、その機能を無効にしている | 高い | 低い |
| インターネットに公開しているサーバーの脆弱性 | 中程度 | 高い |
| 既に攻撃が確認されている脆弱性 | 中程度 | 非常に高い |
| 検証環境の端末のみに存在 | 高い | 低い |
優先順位を決める4つの軸
実務では次の順で判断します。
- 既に悪用が確認されているか
- 影響を受けるデバイスの重要度
- 外部から到達できるか
- CVSSスコア
1番目が最も重要です。実際に攻撃に使われている脆弱性は、スコアにかかわらず最優先で対応してください。
2番目では、基幹サーバーと検証端末を同じ扱いにしないでください。同じ脆弱性でも、影響の大きさが違います。
個別の脆弱性を調べる
検出された脆弱性を開くと、判断に必要な情報がまとまって表示されます。

確認できる情報は次の通りです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
Risk information | CVSSのスコアと評価ベクトル |
Description | 脆弱性の内容 |
Impacted sources | 影響を受ける製品とバージョン |
References | 提供元が公開している情報へのリンク |
Patching statuses | 対処に必要な更新プログラムと、その承認状況 |
Total devices impacted | 影響を受けるデバイスの一覧 |
Patching statusesが実務で最も役に立ちます。その脆弱性を解消する更新プログラムの番号が示され、Pending、Approved、Rejected、Failedの件数が並びます。
つまり、その脆弱性が対処済みか、承認待ちで止まっているか、失敗しているかがこの1画面で分かります。「脆弱性は検出しているが、対処する更新が承認されていない」という状態を見つけられます。承認の設定は承認・却下・リング展開・Staggerを参照してください。
Total devices impactedはManagedとUnmanagedに分かれます。Agentが入っていないデバイスは影響の有無を判定できないため、別枠で表示されます。
対処の手段
脆弱性を解消する方法は主に3つです。
| 手段 | 内容 | 適用場面 |
|---|---|---|
| パッチ適用 | 更新プログラムを適用する | 最も基本。大半はこれで解消 |
| バージョンアップ | 該当ソフトウェアを新しい版に置き換える | パッチが提供されない場合 |
| 緩和策 | 該当機能の無効化、アクセス制限 | 適用できない事情がある場合 |
パッチ適用が基本です。Patch Managementの運用が確立していれば、多くの脆弱性は定期の適用サイクルで自動的に解消されます。
緩和策の記録
すぐにパッチを適用できない場合、緩和策で一時的にリスクを下げます。
緩和策を実施した場合は、必ず次を記録してください。
- どの脆弱性に対する措置か
- どんな緩和策を実施したか
- いつまでの暫定措置か
- 恒久対応の予定
【注意】 暫定措置が恒久化するのが、最もよくある失敗です。「あとでパッチを当てる」としたまま忘れられ、緩和策だけが残ります。期限を決めて記録に残し、期限が来たら見直してください。
対応状況の追跡
対応の進捗を追跡します。追跡できる状態にしておかないと、何が残っているか分からなくなります。
| 状態 | 意味 |
|---|---|
| 未対応 | まだ何もしていない |
| 対応中 | パッチ適用を計画または実施中 |
| 緩和済み | 暫定措置を実施した |
| 解消済み | パッチ適用などで根本的に解消した |
| 除外 | 対応しないと判断した |
Custom Fieldsを使えば、デバイス単位で対応状況を保持できます。管理方法はCustom Fieldsの基礎と活用を参照してください。
対応の目標を設定する
「見つけたら対応する」だけでは運用になりません。深刻度ごとに対応期限を決めてください。
| 深刻度 | 対応期限の目安 |
|---|---|
| 緊急(悪用が確認されている) | 24〜72時間以内 |
| 高 | 2週間以内 |
| 中 | 定期の適用サイクル内 |
| 低 | 定期の適用サイクル内 |
この期限は組織の実情に応じて決めてください。重要なのは、期限を決めて、達成状況を測ることです。
報告への活用
脆弱性の状況は、経営層や顧客への報告材料になります。
報告で伝えるべきなのは件数ではなく、傾向と対応状況です。
| 悪い報告 | いい報告 |
|---|---|
| 「脆弱性が1,200件あります」 | 「先月比で300件減少。緊急対応が必要なものは0件」 |
| 「対応中です」 | 「高深刻度の12件は今週中に解消予定」 |
数字だけを示しても、状況がいいのか悪いのか伝わりません。推移と、残っているものの性質を説明してください。
レポートの作成方法はレポートの種類と作成を参照してください。